人事担当じゃなくても、知っておこう!自分と仲間の“心の病”の詳細

人事担当じゃなくても、知っておこう!自分と仲間の“心の病”

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 うつ病、パニック障害、人格障害、発達障害等々、近年メンタルヘルス問題は、企業だけでなく個人のQOLを維持するうえでも大切だと認識されています。人事担当者ではなくとも、自分や同僚の異変に気づくことは大切です。このコラムでは、新卒、転職者、中高年にわけて、メンタルヘルスに気づく、対処するコツについてまとめます。とくに、初期症状については、頭の片隅に覚えておくと、自分だけでなく同僚にとっても状態の深刻化を防ぐことができるので参考にして頂ければ幸いです。

 



  1.   1.新卒入社1年目のメンタルヘルス




 

若い女性 悩み


 

高校や大学を卒業したばかりの社会人一年生は、環境を含めた変化(ストレス)が最も大きい春を迎えます。社会人としての責任感、覚えなければならないこと等々、学生とはかなり重みの違うプレッシャーに耐えなくてはなりません。さらに、想像していたものと実際の仕事とはかなり異なっている場合や第一志望以外の職についてしまった等々若者ゆえのメランコリーに陥りやすくなる時期でもあります。

 

新卒社員は、誰しも一度は悩みを抱えるものです。筆者も入社一年目は、「こんなはずじゃなかった」と思いましたし、悔し涙も流しました。そんな時、話を聞いてくれる、状況を共有できる同期の存在はとても大きいものだったことを記憶しています。しかし、同期の中には、入社1年目で職を辞した者もいました。

 

ここでは、筆者の同期を例にとり新卒社員のメンタルヘルスについて、メンタルヘルスが原因で離職した二人の話をとおして説明します。そして、彼らのエピソードから入社一年目のメンタルヘルスと不調のサインについて知っておきたいポイントをお伝えします。


 両手を上げるビジネスマン


 


まずは、一人目のA君について話します。A君は、「社長になります!」という意気込みと共に入社してきました。研修中も盛り上げ隊長として目立った存在で、飲み会王との異名まである人気者でした。そんな彼が、新卒研修後配属された先は新規事業部でした。新規事業部では、まだ経験のない新卒社員を他社へ派遣することでOJTをすることになりました。

 

「社長になろう」という高い志を持っていた、やる気溢れるA君は、入社数カ月目にして他社の名刺をもち自分の会社とは全く違う環境で働くことになりました。派遣先が外資系企業だったこともあり、A君は、最初の「こんなはずじゃなかった」にぶつかりました。

 

本来明るいA君は、一見すると落ち込んだそぶりは見せませんでした。しかし、飲み会などの席でぽつりぽつりと心の内を吐露することはありました。もし、その場に上司がいれば、この派遣は、A君を始めとする新入社員に成長してもらうための措置だと将来の展望を含めて説得力をもった話ができたのかもしれません。

 

しかし、当時会社から見放されたように感じていたA君は、自社の先輩や上司が来る席には出てきませんでした。こうして、A君は、だんだんと周りと関わりを持たなくなっていきました。そして、ある日離職願いを出したのです。

 

入社1年未満での離職は、履歴書上決して良い印象をもたれません。本来、A君は、辞めるという選択肢を取らなくてもよい環境だったはずです。しかし、A君は、派遣先で大半の時間をすごします。社では、彼の管理面での手続きは行いますが、業務上のフォローや彼の胸中を察することのできる先輩などはいませんでした。

 

入社一年未満で職を辞したA君と同期の他の新卒メンバーはどうなったかというと、3年のOJTを終え自社に戻り多くは新規事業部のリーダー的存在として活躍しています。彼らも入社当時を振り返れば、本当に身も心も荒んでいたと言います。しかし、多くは、石の上にも3年とはよくいったものだという感想を持つにいたったようです。派遣された同期の中には、仕事ぶりを評価され派遣先に転職した人もいました。

 

このように、同じ年に同じ仕事をスタートしたといっても、離職、転職とわずかの間に違う職業人生となりました。この違いは、メンタルが影響する部分が大きいと思います。真面目すぎると自分で自分を締め付けてしまいます。社会人デビューの年は、いい意味での大らかさも必要でしょう。

 

振り返ってみると、私を含めた同期は、もっとA君のフォローができたのではないかと思っていました。皆自分のことで精一杯だったあの一年目、同期や派遣先でのフォローを望める状態ではありませんでした。もし何か出来たことがあったとするなら、新入社員研修で、仕事に対する向き合い方を先輩から聞いておくことをすべきだったのではないかと思います。

 

ストレスフルな生活がまっているということを入社前に、現場に出る前に、ある程度認識していれば、「こんなはずじゃなかった」から「でも、こんなもんなのかもしれない」に移行出来たかもしれません。

 

 ビジネスマン タブレットコンピューター


 

 

次は、B君です。彼は、前述したA君と同じ職場で働いていました。A君の離職と時を同じくB君は、ある日派遣先の会社で泡を吹いて倒れてしまいました。実際に倒れてしまったのですから、彼は、すぐに派遣先から戻ってくることになりました。

 

B君は、とても実直な青年でした。医療関係の仕事ということもあり、彼の性質は、とても仕事にあっていたと思います。しかし、彼は、巣から放たれてしまった小鳥のような心細さをこのOJT処置から受けていました。まさに、親鳥に捨てられたように感じていたのです。もちろん、機が熟せば派遣先から全員社に戻す約束でしたが、彼は、この約束を信じられない心理状態でした。彼には、派遣先が外資系企業ということがもっとも大きな衝撃だったようです。

 

自分から意見を発することの少ないB君は、「泡をふく」という身体症状をもって今の環境が辛いということを周囲に知らせるに至りました。会社としては、身体の不調を直しまた現場に復帰する手はずを整えていました。実際、彼を社にもどし、内勤という形で気力体力の回復を待ちました。しかし、真面目なB君は、派遣先、自社ともに迷惑をかけてしまったとの思いから、また、期待されていた仕事を成し得ないという思いから離職に至りました。

 

新卒社員は誰しも、「こんなはずじゃなかった」と思うことが少なからずあります。社会の実態、現実にぶつかってみて初めて受けるストレスは、新卒社員にとって離職以外の解決方法を見出せないのかもしれません。

 

A君やB君の事例からわかることは、新卒社員が感じているギャップをやわらげてあげるフォローが必要だということです。特に、仕事始めと一人暮らしが同時にスタートする場合、注意が必要です。できれば、メンターのような存在が社内にいると良いでしょう。社内にメンターがいなくても、辞めるという大きな決断をする前に、臨床心理士や産業医に相談してみるようにすすめましょう。

 

重大な決断は、思い込みが生じる状態でしないように意識しておくことが大切です。また、この二人のような辞め方は、残された方にもいくばくかのマイナスの感情を残します。新卒社員も彼らをむかい入れる先輩社員も双方にとってマイナスの影響は避けるべき状態です。

 

新卒ならではの明るさ、大胆さなどがなくなり、なんとなく内向きな傾向が感じられたら、彼らに話をさせる機会を提供してください。

 

 

 2.転職者のメンタルヘルス


 

 

fired businessman carrying his belongings


 

 

転職者は、大きく分けて3パターンに分かれます。1つ目は、転職せざるをえない人、二つ目は、なんとなく転職したくなってしまった人、3つ目は、キャリアアップのための手段として転職する人です。

 

 1つ目のパターンは、所属する会社の状況などから致し方ないのですが、メンタルヘルスに関して言えば問題を抱えてしまう人が出やすい状況です。

 

しかしながら、この場合、公的なサポートを受けやすいので心と身体の健康を取り戻すことに注力することもできます。

 

一つ目のパターンの人が、転職後に体調を崩した場合、以前から継続して問題を抱えている場合があります。出来るだけ早い段階で、主治医と産業医(会社によっては、産業医と提携した専門医の場合もあります)の連携をとれるようにしましょう。筆者が経験したケースでは、主治医が産業医との協議の結果、診断名をかえたこともありました。このケースでは、転職前から体調不良を感じていた転職者が、入社後本格的にうつ症状を発症しました。主治医は、うつとの判断はしていませんでしたが、産業医との話し合い後うつ病との診断をしました。

 

このように、産業医と主治医のコミュニケーションは、大切です。社員をサポートする立場にとっては、どう対処すればよいのかの基準となる専門家の判断ですから、実態を反映した診断を求めます。この意味で会社と従業員の双方を見ることができる産業医の協力は、必要不可欠といえます。

 

二つめのパターンは、注意が必要です。仕事を始めて三年ほどたつと、資格試験に合格した人や結婚した人などが出始め、周りに転職経験者が増え始めます。外資系企業に勤めていると転職する意志がなくても、会社の名前が変わっていったりするので転職に近い環境に置かれる人もいるでしょう。

 

誰しも仕事を辞めたいと思ったり、もっと良い環境や条件を求める気持ちをもつことはあります。しかし、なんとなく転職パターンは、周りに流されて転職してしまっています。このパターンは、なんとなくから「こんなはずじゃなかった」の新卒者に近いメランコリーに陥る可能性があります。新卒者よりも年齢を重ねている分、焦りも加わってきます。自分で乗り越えなければならない壁である分、周りができることは少ないのですが、仕事のやりがいを見つけやすくするサポートをしてあげるとよいでしょう。

 

キャリアアップのために転職をする人は、エンジニアなど専門職に多いです。5人1人がうつ病になると言われている現代、キャリアアップ転職組にもメンタルヘルス不全は存在します。自律神経失調症や大人の発達障害なども含めると、誰もが可能性を秘めていると言えるでしょう。  

 

さて、本来持っている能力の高いキャリアアップ組は、認知行動療法に似た対策をとることでかなりの改善が望めます。転職後のつまづきが何なのかを明らかにし、その問題に対する解決をはかる方向性を見いだせれば、考え方の均衡が取れるようになり、ストレスに対応出来る状態をつくることができます。

 

専門職や役職が上になればなるほど、メンタルヘルス不全は見つけづらくなります。定期的な産業医のカウンセリングなど、メンタル不全を未然に防ぐ仕組みを持っておくことも効果的な方法です。

 

 

 3.中高年のメンタルヘルス


 

 

疲れたビジネスマン

 

 

中高年は、リストラを始めとして公私ともに外圧がかかる世代です。優秀ではないという評価がそのまま自分にむかってくる矢になってしまうのです。このような環境では、うつ病などのメンタルヘルス不全に陥る可能性も高くなります。中高年で統合失調症を発症することはありませんが、更年期障害、認知症のリスクはあがってきます。

 

 中高年の転職者は、このようなメンタル不全に陥る蓋然性があることをまず認識しましょう。そのうえで、更年期障害に伴うメンタル不全や、うつ病の初期症状である不眠、食欲低下、注意力低下のサインに注意してください。

 

 筆者が一緒に働いていた40代前半、キャリア転職組の男性も、転職後1年でメンタル不全に陥ったことがあります。彼は、プライベートでも資格試験勉強をしていたということもあり、慢性的な不眠でした。転職後3カ月で、注意力が低下し健忘症といってもよいくらいの症状がありました。そして、ある日、出社しなくなり、代わりに主治医からの診断書が送られてきました。

 

彼は、その日から長期療養に入ることになりました。当然、途中の仕事があり、引き継ぎがなされていません。周囲は、大変混乱しました。キャリア転職ですから、転職したばかりでも専門性のある仕事をしています。ゆえに、周囲の苦労は筆舌に尽くしがたいものがありました。

 

 さて、彼は、復職できたと思いますか?答えは、Noです。転職して間もなくだったこともあり、周囲との信頼関係を全く築くことができなかったこと、休職にある日突然入ってしまったことから離職せざるをえませんでした。彼が、次の就職先をみつけるまでに苦労と時間を要したことは、想像に難くありません。

 このエピソードからもわかるとおり、いざという時がいつでも起こりうると考えて、周りが困らない気づかいを忘れないことが大切です

 

 

 4.メンタル不全、その時周りは?


 

 

Try of reconciliation

 

 

 メンタル不全は、一見分かり辛く、対処が難しいものです。まず第一は、メンタル不全のシグナル(不眠、食欲低下、注意力低下)をキャッチすることです。早めにシグナルをキャッチしておけば、仕事上のトラブルは健康な人に業務を振り分けることで回避できます。そして、この回避することが、メンタル不全の連鎖を断つことにつながります。

 

メンタル不全のシグナルに気づいたら、対象者には内科、精神科、心療内科等への受診を促し、産業医がいる場合には適宜連絡をとっておきます。このような対策サイクルをもつことで、包括的に組織内のメンタルヘルス不全リスクを担保しましょう。

 

 

 5.まとめ


 young business man waiting on the line for interview


 

 

企業で働いていたり、ある程度の規模の会社に属していると、人事担当者が働く環境を整えてくれるものです。しかし、一緒に働く人の健康な状態とちょっと不調な状態を感じ取れるのは、人事担当者ではありません。ちょっと不調や何か変を感じ取れるのは、一緒に働いている仲間だけです。

 

メンタルヘルス不全に対する対策の大枠は、人事部門が担当しますが、予防をはじめとする実行は、働く人一人一人が主体的に動いてこそ成り立ちます。他人事と思わず、主体的に自分の健康と一緒に働く仲間の健康に興味を持ってみてください。そのちょっとした気づきが、自分や仲間の心と身体の健康維持につながるのです。

 
 
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著者情報

naoko

naoko

大学卒業後、お堅い年功序列会社に入社。締切に追われる残業生活の中、仕事のノウハウと世の中の厳しさを知る。30歳目前、キャリアアップを図り若いベンチャーへ転職。とにかく人と話すのが好き。趣味は旅行。仕事は楽しく!をモットーに、新しいことに挑戦するのが大好きな現役グラフィックデザイナー。

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